エアコンがある部屋は快適でも、廊下やトイレ、お風呂、脱衣所などは季節によって気温差が大きく、どうしても過ごしにくい場所になりがちですよね。
例えば、ゆっくりお風呂に浸かりたい日や脱衣所でスキンケアをしたい日でも、寒さや暑さがストレスになり、お気に入り空間で過ごす時間が十分取れない場合も少なくありません。
そんなとき頼りになるのが、家中の温度を一定に保てる全館空調です。
どこでも快適に過ごせるので、心身の回復時間もしっかり確保できます。
とはいえ「本当に導入するべき?」「コストはどれくらい?」と不安もありますよね。
そこで本記事では、全館空調のメリットと導入時の注意点、経験者のリアルな声を紹介していきます。
好きな空間で心地よく過ごす時間を増やしたい方はぜひ参考にしてみてください。
普通のエアコンとは一味違う全館空調のメリット3選

まずは、通常のエアコンと比較してわかる全館空調のメリットを3つ紹介していきます。
| 1.家中どこでも快適で健康な空気環境を保てる
2.光熱費を抑えながら家事の負担も減らせる 3.空間をスッキリ見せてインテリアも楽しめる |
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.家中どこでも快適で健康な空気環境を保てる
全館空調は、家中の温度を一定に保ち、換気と空気清浄が同時にできる設備です。
通常のエアコンでは、空間ごとに温度差が生まれ、換気や空気清浄も手動管理となるため、費用やお手入れの手間が増えます。
また、現代は年中花粉が飛んでおり、花粉症の人も増えているので、空気の清潔さは健康維持にも欠かせません。
以下は、空調方式が異なる設備を比較して、大人と子供の身体症状改善率をまとめた表です。
| 身体症状 | 全館空調群 | 床暖房群 | 個別空調群 |
| 活動意欲(大人) | 62.50% | 48.30% | 36.60% |
| 活動意欲(子供) | 61.60% | 38.40% | 27.90% |
| 手足の冷え(大人) | 61.00% | 35.50% | 26.70% |
| 寝起き(大人) | 46.60% | 37.70% | 28.40% |
| 寝起き(子供) | 33.00% | 21.80% | 22.10% |
| 寝つき(大人) | 44.70% | 34.20% | 29.90% |
| 寝つき(子供) | 36.40% | 27.20% | 21.80% |
| 眠りの質(大人) | 43.80% | 38.50% | 29.70% |
| 眠りの質(子供) | 37.20% | 25.30% | 24.50% |
| 風邪(大人) | 41.40% | 45.90% | 34.20% |
| 風邪(子供) | 37.70% | 34.60% | 24.90% |
| アレルギー性鼻炎(大人) | 29.50% | 22.10% | 22.40% |
| アレルギー性鼻炎(子供) | 32.20% | 16.30% | 18.70% |
参考:国立研究開発法人科学技術振興機構「空調方式が住宅居住者の健康症状・生活の質に及ぼす影響に関する調査研究」
数字から、全館空調が生活の質や健康改善に役立っていると一目で分かりますね。
温度差がない空間作りは、快適な暮らしの実現だけでなく、生活の質や健康改善にもつながるため、小さなお子さんや高齢者、ペットがいる家庭は、ぜひ導入を検討してみてください。
2.光熱費を抑えながら家事の負担も減らせる
1台の空調設備で家全体の空気を一括管理できるため、光熱費や家事の負担を減らせます。
通常のエアコンは、部屋ごとに設置と管理が必要なうえ、ドアの開閉が生む温度差で消費電力が増えてしまう場合も少なくありません。
全館空調であれば、部屋ごとの温度差が少なく、空気の循環効率も良いため、長期的に光熱費を抑えやすいです。
さらに、部屋ごとの温度調整やフィルター掃除の手間も省けます。
全館空調は家計に優しく、忙しい主婦の負担も減らしてくれるので、家族みんなが快適に暮らすためにも、導入を検討してみてはいかがでしょうか?
3.空間をスッキリ見せてインテリアも楽しめる
全館空調は、部屋がスッキリ見せられるだけでなく、間取りやインテリアの配置も自由にできます。
全館空調の室内機は、空調室や収納内に設置されるので、通常のエアコンと違い、露出する部分がありません。
そのため、エアコンの大きさに左右されない開放的な間取りとインテリアの美観、配置を自由に楽しめます。
例えば、天井や壁にかけるインテリアやフェイクグリーンでオシャレ空間に仕上げれば、そこがあなたのお気に入りスポットとなるでしょう。
全館空調は室外機が1つなので、家の外観もスッキリします。
家全体の美観を重視する家庭は、ぜひ導入を検討してみてください。
導入前に知っておきたい全館空調のコストと管理の注意点

全館空調に興味を持っていただけましたか?
次に、全館空調導入の際に必要な費用と管理について2つ紹介していきます。
| 1.初期費用はかかるけど電気代は安い
2.お手入れは必要だけど負担は少ない |
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.初期費用はかかるけど電気代は安い
全館空調は初期費用こそ高めですが、複数のエアコンを使用する家庭では、長期的に電気代を節約できる設備です。
全館空調の初期費用は、タイプやメーカーにもよりますが、100~300万円程度です。
一方、通常のエアコン3台と床暖房を導入した際の費用が150万円前後になるため、思ったほど大きな金額差はありません。
さらに、全館空調は家全体を管理しているため、個別エアコンよりも冷暖房効率が高く、家計にも優しいです。
以下は通常のエアコンと全館空調の年間電気代を比較した画像です。

この比較から、エアコンを3台以上稼働させる家庭では、全館空調のほうが電気代を抑えられるとわかりますね。
このメリットを活かすために、初期費用だけで判断せず、ランニングコストや維持費も含めて検討しましょう。
家中の温度差を減らしたい人やエアコンを3台以上使っている家庭は、長期的なメリットを考えて全館空調の導入を検討してみてください。
2.お手入れは必要だけど負担は少ない
全館空調も定期的なお手入れやメンテナンスは必要ですが、個別管理のエアコンより手間が少なく、家事負担も減らせます。
全館空調は1台で家全体を管理しているため、基本的なお手入れは「本体+主要フィルター」のみです。
そのため、複数のエアコンを個別に管理する手間やコストはかかりません。
以下は、全館空調と通常のエアコンを比較したときのお手入れ頻度やコストについての表です。
| 項目 | 全館空調 | 個別エアコン |
| フィルター掃除の頻度 | 月1回程度 | 2週間~1ヶ月に1度 |
| 業者の点検 | 年1~2回 | 2~3年に1度 |
| ダクト送風管の掃除 | ◯ | × |
| メンテナンスコスト | 年間50,000円 | 1台:10,000~40,000円 (オプション代は別料金) |
※お手入れ頻度や価格はメーカーやプランによって異なります
基本的にお手入れは月1回、無風タイプならパネルの表面をサッと拭くだけで完了するものもあります。
また、ダクトや送風管の掃除は通常10年に1度程度で、主要フィルター以外のお手入れはほとんどいりません。
メンテナンスコストだけ見ると高く感じますが、個別エアコンの台数が増えるほど費用はかさむため、全館空調のほうが負担は少ないです。
故障時の対策についても確認しておきましょう。
全館空調は1台で家全体を管理しているため、故障すると家中の冷暖房が止まります。
個別エアコンのように「この部屋だけ故障」とはいかないので、日常生活に多大な影響が出るといっても過言ではありません。
こうしたリスクを避けるためにも、導入前にチェックしておきたい項目が3つあります。
| ・保証や点検サービス(メーカー保証期間やメンテナンス契約の内容)
・代替手段(故障時に別途冷暖房設備が必要か) ・修理対応(迅速に修理してもらえるか) |
どの空調機器も寿命は約10~15年です。
だからこそ、保証内容や修理体制、代替手段の有無を導入前にしっかり確認しておきましょう。
【経験者は語る】使ってみてわかった全館空調の魅力と注意点

ここからは、全館空調を導入した家で実際に暮らしている人が感じたメリットやデメリット、よくある疑問や不安、その対策についても紹介していきます。
導入を検討している方は、経験者の声やQ&Aを参考にしてください。
まずは、全館空調で暮らしている人たちに「健康やストレス」「快適さや心地よさ」「電気代や費用」「生活の変化やその他」といった4項目についてのアンケートを行いました。
以下はZ空調を自宅に導入したお客様の声をまとめた画像です。


参考:Z空調お客様の声
家庭によって感じ方は違いますが、どの項目でも「導入してよかった」という声が多く寄せられていますね。
このような嬉しい声がある一方で、全館空調を導入したすべての家庭が100%満足しているわけではなく「思っていたのと違った」という声があるのも事実です。
そこで次に、よくある疑問や不安への回答とその対策を紹介していきますので、検討中の方は参考にしてください。
以下は疑問や不安、それに対する回答、対策を一覧表にしたものです。
| 疑問や不安 | 回答 | 対策 |
| 部屋ごとに温度調整はできるか? | ・1階、2階で設定可能 ・同階内も風量で微調整可 |
・設計と断熱の最適化が重要 |
| 乾燥やファンの音はひどくないか? | ・直接風が当たらず快適 ・暖房機器のような水蒸気がないため乾燥しにくい ・ファン音は小さい |
・断熱性能を高くする ・加湿器や加湿オプションで補う ・室内機の配置を工夫する |
| 365日つけっぱなしで電気代は大丈夫か? | ・冷暖房が不要な日は運転しなくてOK ・オン、オフ時の消費電力のほうが大きい |
・常時運転またはタイマーを活用 ・温度と風量の調整を工夫 ・設計と断熱の最適化が重要 ・太陽光発電を併用 |
| 臭いがこもったり、移ったりしないか? | ・換気が常時行われるため基本的には問題なし | ・基本は24時間換気をオン ・強い匂いは元を除去して換気を強化 |
※メーカーやプランによって異なります
温度や風量を細かく調整できる機器もあり、工夫次第でより快適な住環境が作れるとわかりますね。
全館空調で暮らしている人たちのリアルな声と事前の確認は後悔しない家づくりに欠かせません。
これらの経験談やQ&Aを参考に、自分たちのライフスタイルに合う家づくりへ役立ててください。
まとめ:全館空調で快適生活!不安を解消して導入の一歩を

というわけで今回は、全館空調のメリットと導入時の注意点、経験者のリアルな声に分けてお伝えしました。
現代は、家事や育児、仕事といったストレス要因が多く、心身の回復や健康維持のためにも、安全性と快適性の高い家づくりが欠かせません。
特にタイル風呂のような寒い空間でも、全館空調なら温度差を抑えて快適に過ごせるため、家族みんなが嬉しい設備といえるでしょう。
メリットが多い一方で、乾燥や電気代などの不安要素もあるので、事前に確認し、設計で工夫しておくと安心です。
フルハウス株式会社では、全館空調に対する不安の解消や生活スタイルに合わせた最適な設計プランを提案できます。
全館空調は、暮らしを変える大きな設備だからこそ、丁寧な検討が欠かせません。
家づくりや全館空調に関する疑問や不安があれば、お気軽にご相談ください。
あなたとご家族の何気ない毎日が幸せでありますように…



