『生命を護り、育む家④』のテーマは空気です。
人間は人生の60%をすまいで過ごすといわれています。つまり、すまいの空気の質は、前回のテーマの水と同じように、そこで住む人の健康に影響を与える、ということになります。
特に近年の花粉を含めて様々な有害物質、大陸から押し寄せるPM2.5やら黄砂やら、あまりにも空気の質が悪化した状況を鑑みると、すまいの中はせめて安全・安心な空気で生活したい、と感じる人は多いのではないでしょうか?
昨今の住宅は屋外の空気をシャットアウトする「高気密・高断熱」の作りが基本です。私はこの考え方に最初はあまりなじめませんでした。
むしろ、夏場の南風や冬場の北風を窓の構造や機能を工夫しながら、より自然な風を取り入れることで健全な暮らしを楽しむパッシブ・ハウス的なすまいのほうが良いのでは?と思っていたからです。
しかし先ほど言及したように、ある程度の街中で暮らしていく以上、今や安全・安心な空気は、水と同じように無料では手に入らなくなってしまったようです。
いかにすまいに健全な空気環境を創り出すか、ということを考えることは、家づくりの上で非常に重要なファクターなのです。
そこを押さえた上で、屋外の環境ともバランスをとって日常生活を楽しむ、ということを考えていく必要がありますね。
では「安全・安心な空気」とはどんなものでしょうか?
理想的な室内環境を創造するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
①上質であること。有害物質を可能な限り排除していること。
②適切な温度・湿度を叶えていること。
③快適な気流が発生していること
④心地よい香り(あるいは消臭)
⑤心地よい明かり
もちろん、いずれも省エネであることが重要です。
そして、これら5つの条件は実現可能です。
①や④は有害物質、特にPM2.5を99.9%のレベル除去する性能をもった空気清浄機を居室で活用することで、②、③はPMVやPPDといった空気環境・温熱環境を表す指標をもとに開発された24時間換気システムを利用することで達成することが可能です。
⑤は状況に合わせて明かりの色を変えられるタイプの照明を使えばよいでしょう。
次回、安全・安心な空気について、もう少しだけ掘り下げたいと思います!
こうご期待♪